一匹狼くん、 拾いました。弐
「あら、そんなのでいいの?ピザ食べたいならそう言ってくれればいいのに。ピザ屋とか行けばよかった」
目を丸くして、母さんは言う。
「……ファミレスの方が安いし、いいよ」
「あら、そう? 気ぃ遣ってくれるのね。ありがとう」
俺が家計が厳しいのを気にしているのを察したのか、母さんはそう言って嬉しそうに笑った。
「……別に」
「なんのピザ食べたい?」
「……マルゲリータ」
定番で、スーパーとかにある冷凍ピザとしてもよく売っているのを恐る恐る口にする。
名前は知ってても、一度も食べたことなかったから。
「他には? 何か食べたいのない?」
「……いちごパフェ食べたい」
「え? 俊平って甘党だったっけ?」
首を傾げて母さんはいう。
「……違う。俺は甘党じゃない。つか、甘いのなんて虐待されてた時からろくに食べてないし」
「そうよね。なら、どうして?」
「……友達が食べてるから」
仁のことを思い浮かべながら、俺は言う。
「……友達?」
「うん。……そいつ一人暮らしててさ、昼いっつも購買でパン買ってんだけど、それがメロンパンだとか、チョココロネだとか、いつも甘いのばっかなの。……それで、気になっただけ」