一匹狼くん、 拾いました。弐
……俺達がミカを守らないと。
……何をしてでも、父親に性的な目で見られていることを隠さないと。
俺と結賀はアイツらとは違う。俺達はミカが幸福になるように動く。
たとえそうしたせいで、ミカに不審がられる羽目になっても。
「……結賀、刑務所には俺とお前の二人で行くぞ」
「ああ、そうだな。ミカはもうあそこには連れていかない方が良い」
結賀の手を握って、俺は言った。
「結賀、俺のことが好きなら、死ぬまで俺と一緒にこの秘密を隠し通せよ……でないと付き合わないからな」
「はぁ……仁」
ため息をついてから、結賀は俺の身体から手を離した。結賀が俺の後ろに移動する。何だ?
「あ? あぁっ」
後ろにあった髪を上にあげられて、突然耳の裏側を吸われた。
ビクッと身体が震えたと思ったら、女みたいに甲高い声が出た。恥ずかしくて、俺は慌てて口を覆った。
「……結、そういうのは俺がお前を好きになるまでは」
「ん、分かってる。だからこれは証明」
「証明?」
「そ。俺とお前が、秘密で繋がれている証。それならいいだろ」
「んんっ。……やめろバカ」
濡れた耳に手を添えられ、証が着いたそこをゆっくりと撫でられる。
また声が出た。
「……仁はこういうのがあった方が落ち着くだろ?」
俺の目を見て、得意げな様子で結賀は言った。
その通りだ。俺は人間不信で、口約束ほど信用ならないものはないと思っているからこういうのがある方がいい。
「はぁ。……証を作るならちゃんとそう言ってからやれよ。でないと次は怒るぞ」
「ん、分かった」
服の袖で首についた唾を拭き取りながら、結賀は頷いた。