一匹狼くん、 拾いました。弐

「そう。じゃあ、注文しちゃうわね」

 母さんが注文を済ませてから十分くらいでピザは来た。ピザとパフェの他には、ドリンクバーと、母さんが食べたいっていうからハンバーグを頼んだ。

「それにしても、まさか俊平から友達なんて言葉が出るなんて、お母さんとても嬉しいわ」

 ドリンクコーナーでコップにジュースを注いでる俺の頭を撫でながら、母さんは言う。

 母さんは、自分のコップに水を注いだ。

「……別に。一緒にいると楽だからそうしてるだけだし」

 母さんから目を逸らし、小声で俺は言う。

「……そう? それでも嬉しいわ。だって俊平、今までは全然友達作ってなかったもの」

「……一生作んないでいた方が、よかったのかな」

 力のない声を出して、俺は言う。

「俊平……」

「俺があのまま楓とも岳斗とも仲良くしないで、ずっと独りでいれば、平和だったのかな。

……俺が独りでいれば、楓が車に轢かれそうになることも、岳斗が死ぬこともなかったのかな」

 虐待されるのなんて懲り懲りだ。父さんに商品だって言われて生きるのは吐き気がする。でも、その吐き気に俺がずっと耐え続けていたら、楓も岳斗も助かったのではないか。

 楓が、江ノ島の孤児院にいくこともなかったのではないか。

 ……俺が耐えてさえいれば。
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