一匹狼くん、 拾いました。弐
「……結局さ、俺が友達作っても悪影響しかないんだよ」
投げやりにそう言うと、俺はウエイトレスの目を盗んで、テーブルの柱を蹴った。
それから、俺はドカっと雑に椅子に腰を下ろした。
「そんなことないわよ。……俊平、お願い。自己犠牲しようなんて考えないで。私は貴方が助かって本当に良かったと思ってる」
向かいの椅子に腰を下ろすと、俺の頬を触って母さんは言う。
「……俺、助かってんの? 頭は半分凹んでて、身体中あざだらけで、手の平には縫い跡があって、手首には鎖の跡があってさ。それのどこが助かったって言えるんだよっ!!! なんであんたは、母親のくせに十年も父親に逆らってなかったんだよ!結局俺より父親が好きなのか!あんなクソみたいな奴が!」
思わず声を荒らげてしまった。
こんなことが言いたい訳ではないのに。
「俊平、ごめっ、ごめんね……」
泣きながら、母さんは言う。
「……なんであんな奴と結婚なんかしたんだよ」
涙を拭いながら、母さんは口を開く。