一匹狼くん、 拾いました。弐
二階は、仁の家と同じ1DKの造りになっていた。
ダイニングにあるのは冷蔵庫とテーブルとソファとテレビだけで、奥にある寝室の中も、ベッドと布団と枕しかない。
必要最低限のものしかない感じだな。
「……アイツらに連絡したのか?特に仁」
何も聞くなって言ったのに聞いてきた。でも、これくらいのことなら許容範囲内だ。
「……してない。葵から連絡しといて」
床にスクバを置いて、俺は言う。
「お前なぁ……。はぁ……。母親と喧嘩でもしたのか?」
肩を落としてため息をついてから、葵は首を傾げる。
質問の仕方が優しい。
何が聞いて良くて何がダメか判断しながら聞いている感じだ。
「……喧嘩じゃなくて、絶縁した。俺が一方的にだけど」
「絶縁ねぇ? そんなに嫌なことあったのか? それくらい聞いていいだろ? 何があったかは話さなくていいから」
「……嫌なことはあった」
「そうか」
葵は俺のパーカーのフードをとり、銀髪をそっと撫でた。