一匹狼くん、 拾いました。弐
「……なんで仁の家とか華龍の倉庫じゃなくて俺んとこ来たんだ?」
「……あいつら夏休みで浮かれてるだろうし、行ったら騒がしいかと思って。廉とか特に。今は静かなとこにいたかったから」
「まぁ、俺の店は静かなのが定評だからな」
腕を組んで、得意げに葵は頷く。
「……葵、ベランダいてい?あと、酒ない?」
「お前未成年だろ」
俺は葵の言葉を無視し、何も言わず冷蔵庫を開けた。
「おい銀!」
葵が冷蔵庫のそばでしゃがみこんでる俺の肩を掴む。俺はその手を思いっきり振りほどいた。
「あっ。……ごめん」
思わず顔を伏せる。
「はぁ。ちょっと待ってろ。たぶんノンアルか1%のが店にあっから」
また頭を撫でると、葵は冷蔵庫を閉めて俺を宥めるように言った。
「……わかった」
「ん。じゃ、大人しくしてろよ」
俺が頷いたのを確認してから、葵は階段を降りて店に戻った。
俺は立ち上がって、ベランダに行った。