一匹狼くん、 拾いました。弐
「だから?」
「えっ」
「……綺麗だと思えないから、なんなんだよ? 汚れてるからって未成年なのに酒飲んで煙草吸って、ろくに病院もいかないで。そうやって自分のこと一生大切にしないで生きてくつもりか? ふざけんじゃねえ!」
俺の胸ぐらを掴んで、葵は叫んだ。
「……俺はなぁ、お前が汚れてるとか、汚れてないとか、そういうのどうでもいいんだよ! 俺はお前に触れたら体が腐るとしても、たとえお前が伝染病にかかってて、そばにいたら早死するハメになるとしても、ずっと一緒にいたいんだよ!!」
例えが無茶苦茶だ。
「……本当にそんなだったら、俺を捨てるだろ」
「だから捨てねぇよ!! 少しは信じろ! 俺はお前を捨てねぇ! 華龍もだ! 何があっても俺らはお前を捨てねぇ!」
あまりに口先だけとしか思えないような言葉を葵は言う。
そんな言葉、信じられるわけがない。
俺は葵の腕を振りほどいた。
「……捨てるだろ。もし俺が虐待のせいで本当に奇病にかかって、一人じゃろくな生活もできないくらい弱ったら、見捨てるだろ。……介護とか、どうせしてくれないだろ」
「してやるよ死ぬまで!! ずっと面倒見てやるよ!!」
間を一切作らないで葵は言う。即答だ。
「……頼むから、死のうとすんなよ」
俺の縫合跡がある両手を握って、今にも泣きそうな顔をして葵は言う。