一匹狼くん、 拾いました。弐
「……なんか言えよ」
両手を握る力を緩めて、葵は言う。
「……信じらんねぇよ、俺は誰も。親も、友達も何もかも。みんな嘘だらけだ」
「じゃあ信じなくていいから、黙ってそばにいろよ!!」
俺を抱きしめて、泣きながら葵は言う。
「無茶苦茶だな」
「うるせぇ! 頼むから、死ぬなよ」
「……じゃあ、俺が死のうしたらそうやって葵か華龍で毎回止めろよ。
それで、俺を無理矢理にでも生かして。……生きてるのが呪いだって考えてしまうくらい死にたがりの俺を、必死で生かして。それでいつか、生きるのが楽しいって思わせてくれよ」
「……ああ。お前が生きるのが楽しいって思うようになるためなら、何だってしてやるよ」
葵は泣きながら言った。
そう言ってくれたのがどうしようもなく嬉しくて、俺は声を押し殺して泣いた。