一匹狼くん、 拾いました。弐
「うっ、うっ……」
「よしよし。全く、しょうがねぇな」
俺の頭を撫でて、葵は笑った。
「葵」
「ん?」
「葵は、楓が生きてたこと本当に知らなかったのか?」
目を見開いてから、葵はゆっくり言う。
「……葬式の1週間くらい前、両親がリビングで誰かと話してたんだ。俺は部屋にいたから、その時の内容を知らない。でも今になって思うんだけど、その誰かって、たぶん露麻だ。……このまま銀のそばにいたら、楓は本当に死ぬかもしれないとか言ったのかも。誰だって子供には死んで欲しくない。病気とか、事故、あるいは誰かに殺されたりすんのは尚更嫌なハズだ。だから偽の葬式もしたんだろうな」
「……そっか」
小さな声で、俺は言う。
「ああ。ごめんな。俺がもっと早く気づいてれば、あんな混乱しなかったよな」
「……いや、いい。もっと早く知っても、戸惑ってたと思うし。……俺、楓どうしたらいいのかな」
首を降って、頼りげのない声を出して言う。