一匹狼くん、 拾いました。弐
「仁、俺は心配されるか……」
「それ以上言ったら、殴るぞ。お前の価値決めんの、あの根性ねじ曲がったクソ親じゃなくて、俺たちなんだから」
涙を拭うと、俺を睨みつけて仁は言う。
「……ありがとう」
そう言って、俺は作り笑いをした。
「ああ。……ミカ、夏休み楽しもうぜ。そんでちゃんと学校行って、留年しないで卒業して、卒業したら、ここでみんなで働くんだよ。悪くないだろ?」
フード越しに俺の頭を撫でて、仁は楽しそうに口元を綻ばせた。
「……ああっ!」
俺は笑って頷く。今度は作り笑いではなく、心の底からちゃんと笑った。
……本当に、仁には救われてばっかりだな。