一匹狼くん、 拾いました。弐
「ミカ?大丈夫?」
緋也に顔を覗き込まれ、慌てて返事をする。
「……あっ、あぁ」
「ハッ、わかりやす。怖いなら怖いっていえばいいのに」
小馬鹿にするみたいにいって、緋也は笑う。
「全くだ。大丈夫だ、ミカ。露麻が何か企んでたとしても、俺らでお前を守るから」
そういい、結賀は俺の頭をフード越しにポンポンっと撫でて笑った。
「……あぁ、ありがとう」
「ん。じゃ、幹部室戻るか。ミカ、わかんないことあるなら勉強教えてやるよ。緋也はどうする?」
「僕は血流に戻るよ。ミカに会ってくるとしか言ってないから、あんま遅いと幹部のみんなに心配されそうだし。ミカ、何かあったら言ってね。あまり一人にならないで」
「あぁ、わかった」
俺が頷いたのを見てから、緋也は去っていった。
それから一週間過ぎ、テストも無事終わって、華龍の倉庫で時間を潰してた日のこと。
「……総長、何か執事の服を着た方が俊平様を呼んでくださいって言ってるんですけど」
下っ端が幹部室に入ってきて、結賀に言う。
間違いなく、露麻のことだ。
「ミカ、追い返していいよな?」
結賀は俺を見てから立ち上がる。
「結賀、待って。俺も一緒に行く。話聞くだけ聞いてみたい」
結賀の服の裾を掴んで、俺は言う。
「……わかった」