一匹狼くん、 拾いました。弐
露麻が俺らを連れてきたのは、江ノ島の孤児院だった。
「露麻さん!また会いに来てくれたんですね」
俺らを迎えた職員が、露麻を見て嬉しそうに笑う。
「はい。今日は知り合いも一緒なのですが、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です!楓さんなら今は寝室で子供達をあやしてます!こっちですよ!」
職員の後を追って中に入る。
寝室の前で、露麻は足を止めた。
何かあるのかと思ってドアの上の方にあるガラス窓を覗き込むと、オレンジ色の髪をした女の子が目に入った。
「泣かないでー!ベロベロバー!!」
「かっ、楓……?」
子供を楽しそうにあやすその子は、正しく俺の初恋の子そのものだった。
「……俊平様は私のせいで彼女は轢かれ死んだと思っていたのでしょうが、実際はそうではありません。あの日車は、彼女を轢く直前でギリギリ止まったんです。その時俊平様は旦那様のせいで意識がなくなってたので、知らなかったでしょうが。ですが、旦那様はそれを快く思わなかった。
そして旦那様は、私に言いました。金ならいくらでもやるから、その女を死んだことにしろと」
「……なんだよ、それ」