一匹狼くん、 拾いました。弐

「ミカ!」

式場からでてきた岳斗が俺に気づいて、走ってそばにくる。

「お前、何も知らねぇくせに好き勝手言ってんじゃねぇよ」

岳斗は男を鋭い眼光で睨みつけた。

「いや俺は知ってる。お前らのことを嫌になるくらいな。だって俺は、楓の兄なんだから」

俺と岳斗は目を見開いた。


「俺は立花葵。楓の兄だよ」


そういう葵の瞳からは、涙が流れていた。


――人生の中で最悪な出会い方というものが、
一体幾つあるのか。たぶん、そう多くはない。


俺と葵の出会いは、本当に史上最悪の出会い方だった。


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