一匹狼くん、 拾いました。弐
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葵は親父の虐待に屈して反抗する気もなくしていた俺の目を必死で覚まそうとしてくれた。そんな葵は、俺にとって岳斗と同じか、それ以上に大事なヤツで。
「……多分俺は葵がいなかったら、とっくのとうに自殺してた」
「……ふーん。そんなことがあれば信頼して当然だな」
仁は鋭い目をして頬杖をついて、足を組んだ。
態度が悪い。
納得してない感じがあからさまだ。
普段の仁なら、こんな態度絶対しない。
「じーん、昔に戻ってる」
「うるせぇ」
仁が結賀を毒づいた。こんなの初めて見た。
「……はぁ。うるせぇじゃねぇよ。本当にお前は裏切りとかがあると、態度が豹変するな。ミカがびっくりしてるぞ」
そう言って、結賀は呆れたようにため息をついた。