一匹狼くん、 拾いました。弐
大人は嫌いだ、――ウソツキだから。
大人は嫌いだ、――ウソツキだから。
脱衣所で服を脱いでいた俺はイライラして、壁を蹴った。
それから三分もしないうちに着替えとバスタオルを持った結賀が脱衣所に入ってきて、俺を見て顔をしかめた。
「じーん、ここ俺の家なんだけど」
「……悪い」
「まぁ別にいいけどさぁ……ミカには当たんなよ? 今お前が機嫌悪いのはあの毒親のせいだししょうがないことだから、別に無理に機嫌直そうとはしなくていいけどさ……ミカには当たんな。あいつも、お前と同じくらい辛いんだから。――なんせ、兄みたいに思ってたヤツに裏切られたんだからな」
「……ああ、わかってる」
俺は結賀から着替えとバスタオルを受け取ってから、しっかりと頷いた。
「それならいい」
そう言うと、結賀は俺の頭を撫でて、部屋に戻っていった。