一匹狼くん、 拾いました。弐
俺と仁は似ているのかもしれない。
仁も俺と同じように傷つくのを怖がってて、親に裏切られたことがあって。……俺は無意識のうちに仁のそんな内面に惹かれて、友達になりたいと思ったのかもしれない。
「……結賀、人の心を読むな」
仁が風呂から出てリビングにきて、結賀に不満を言う。どうやら、ガッツリ聞こえてたみたいだ。
「悪い。聞こえてた?」
結賀は申し訳なさそうに手を合わせた。
「めっちゃ聞こえてるわ。………ミカ、引いた? 俺のこと、めんどくさいやつだと思った?」
仁が俺の顔色を伺いながら、そんなことを言ってくる。
「おっ、思わねぇよ。……そんなこといったら、俺もめんどくさい奴だし」
「確かに、ミカも仁もめんどくさいなー」
「おい」
仁は結賀を睨みつけた。
「アハハ。嘘々。葵のことがあったからってそんなかりかりすんなよ、仁」
「してねぇ」
「はいはい」
結賀は仁の返事を適当に受け流した。
「……仁、大丈夫?」
俺は仁のそばにいって、首を傾げて言った。
「……ん、へーき。まぁ嫌なこと思い出したから、気分はあんま良くないけど。ミカは?」
仁は俺の頭をぽんぽんと叩いた。
「……大丈夫ではないかも。正直言うと、葵のことは今もどうすればいいかわかんない」
「ん、そっか。まぁそれは別に焦らないで、ゆっくり考えればいいから。期限があるわけでもないんだし」
「……うん」
俺は消え入りそうな声で頷いた。