一匹狼くん、 拾いました。弐
「本当に気にしなくていいからな、ミカはそのままでいいから」
「うん、ありがとう仁」
「ふぁぁ。さすがにそろそろ寝ないか? もう2時だぜ?」
結賀が欠伸をしながらそんなことを言ってくる。
「……そうだな。じゃあ結賀の話は明日な」
「……ああ、うん。ミカ、風呂入んの朝でも平気? 朝一で沸かしとくから」
「あっ、ありがとう」
「ん。そんじゃ、もう歯磨いて寝ようぜ」
「そうだなー」「うん」
結賀の言葉に俺と仁は同時に頷いた。
俺たちはその後歯を磨いて、結賀はベッドで、俺と仁は布団で寝た。
翌朝。
俺は目を覚ますと、枕元にあったスマホの電源をつけて、時間を確認した。……8時だ。6時間しか寝れてないな。でももう一度寝ようと思うほど眠くはないな。
俺はトイレにいってから台所に行き、水を一杯飲んだ。
「……」
布団で寝ている仁と結賀を遠目で見てから、首にかけていたストラップを外す。
ストラップを持ってベランダに行くと、夏風が身体を刺激した。
ストラップの中央にかかっている透明なケースの中に入った煙草の箱を、俺はぼーっと見つめた。
……これは、ただの煙草じゃない。
「……ミカ、早いな」
仁がベランダに入ってきて、そんなことを言ってくる。
「仁。……おはよう」
「はよ。よく寝れたか?」
「いや、全然」
葵のことをまだ引きずってるのに、
快眠できるわけがない。
「俺も」
そういって、仁は肩を竦めた。
「ミカ、もしかして、煙草吸おうとしてんのか?」
俺が手に持っている煙草を見ながら、仁は首を傾げていう。
「……してない。これ、俺のじゃないし」
俺は首を振った。
「え? じゃあ誰のなんだよ?」
「……岳斗」
俺は消え入りそうな声で言った。