一匹狼くん、 拾いました。弐

「「ミカ!」」

 仁と葵が後を追ってくる。

「葵はこのこと知ってたのか……?」

 俺は足を止め、後ろに振り向いた。

「いや。でも、どこか不自然だとは思ってた。葬式で両親泣いてなかったし。でも、だからってこんな結末だとは……」


「じゃあ、やっぱ葵も騙された側か。アハハハハ!……本当に、どんだけ親父は俺の人生ぶち壊したかったんだよ。俺に楓が死んだって思い込ませるだけならまだしも、大金かけて偽の葬式して、墓も作ってさ、……本当に俺はとことん親父の玩具(おもちゃ)だな」


 酷すぎて思わず笑ってしまった。親父からすれば、俺が大人しく、従うようになればどうでもいいのだ。


 たとえそのために誰かが死ぬ羽目になったり、大金をかけることになったりしようと。

 俺は芸術家の親父にとって金を稼ぐための。あるいは、知名度をあげるための商品でしかなくて、親父はその俺が犬みたいに従うようになるためなら、手段を選ばない。


 俺が大人しくなるなら、その裏で誰かが傷ついても素知らぬ顔なんだ。

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