一匹狼くん、 拾いました。弐
「父さん、仕事で疲れただろうし、 ちょっとだけ寝てていいよ。飯できたら起こすから」
「そうか? 悪いな、結」
「大丈夫、仁にも手伝ってもらうから。ミカは風呂入るか?」
「うん、……入っていいなら、入る」
「じゃ服貸してやるよ。パーカーの方がいいんだっけ?」
「うん、その方がいい」
「そっか。ま、整形されてないって言われたからって急に服変えるのは無理だもんな。これといって実感も湧いてないだろうし」
「……うん」
俺が頷くと、結賀は寝室に向かった。慌てて後を追って寝室に行くと、結賀が整理タンスを
漁っているのが見えた。
「ミカ、服のサイズは?」
「……エス」
「そか。そしたら俺Mだからちょっとデカいかもだけど、今日限りだし勘弁してな。これなら傷とか透けない?」
結賀は整理タンスからカーキー色のパーカーと黒のズボンを取りだして、俺に問いかける。
「うん、大丈夫だと思う。ありがとう」
服を受け取って、俺は礼を言った。
「ん。これタオル。下着とバスタオルは後で持ってっとくから、もう風呂行っていいよ」
「うん、わかった。ありがとう」
結賀からタオルを受け取って脱衣場にいくと、石鹸の香りが鼻腔をくすぐった。
どうやら、脱衣場の隣にある風呂場のドアが開いてたから香ってきたようだ。ドアが開いてたのはきっと換気のためだろう。
脱衣場は洗面所と洗濯機があるだけだった。
俺は結賀が渡してくれた服を洗濯機の上に置いてから服を脱いで、タオルを持って風呂に入った。