一匹狼くん、 拾いました。弐
「あーあ、立場逆転しちゃったなー。まさかミカが俺を励ましてくれるなんて思いもしなかった。
……ごめんな、ミカも葵のこととかでいっぱいいっぱいなのに」
「ううん。仁にはいつも助けて貰ってるから」
俺は首を振って、仁に笑いかけた。
「俺、本当にお前のこと助けてる?」
「え、なんでそんなこと言うんだよ?」
「……だって俺、人間不信だから。昨日、思ったんだ。俺はミカに自分の価値観を押し付けたんじゃないかって」
「葵のこと?」
葵が俺を利用したとか言った時のことだろうか。
「ああ。結賀にだってやめろって言われたのに、俺は葵のことをミカの前でえげつないくらい悪く言って、ミカに自分の価値観を押し付けた」
俺は慌てて首を振った。
「そんなことねぇよ。仁は何も悪くない。……葵のことをあんなふうに言ったのだって、親のことがあったからなんだし」
「でもミカ、傷ついただろ?」
「……まぁそれはそうだけど、結賀に励ましてもらったし、別に平気」