一匹狼くん、 拾いました。弐
ねぇ、愛して。
結賀の家からだと、俺のあのボロい家とは逆の方向に徒歩で20分くらい進んだとこに昔の俺の家はある。
あのボロい家とは比べ物にならないほど綺麗で、壁やドアに傷なんてひとつもないその家は、まるで異国のお嬢様が住んでいそうな雰囲気を漂わせていた。
ただ一つのある場所を除いては。
ピンポーン。
インターホンを押すと、すぐに家のドアが開いた。
「俊平様、どうして」
露麻が家から出てきて、俺を見ながら言う。
「露麻、葵の写真どこにある」
「ああ。……全て気づいてしまわれたんですね」
察したように露麻が言う。
「ああ。全部葵から聞いた」
「そうですか。……こちらです、着いてきて下さい」
露麻が玄関先の廊下の隅にある階段を上がって、二階に行く。
「露麻は俺が葵と一緒に孤児院に行く前から、本当のことを知ってたんだよな」
俺は露麻の後を追いながらいった。
「……はい。旦那様から俊平様には話さないように言われていましたが」
葵が露麻に頼んだんじゃなかったのか。
「親父はなんでそう言った」
「……恐らくですが、旦那様は俊平様が自分は整形されたと思い込んでいたのを利用しようとしたんだと思います」
「……利用か」
「はい。旦那様は俊平様を暗くて、自分に一切反抗しない子にしようとしていました。そのためだけに俊平様を商品と呼んだんです。……その言葉で俊平様が整形されてるのを思い出して、暗く防ぎ込むようになるのを見越して」
ああ、そうか。
「……じゃあ俺は十年も、親父の魂胆に踊らされてたのか」