一匹狼くん、 拾いました。弐
酷い話だな、全く。こっちの気も知らないで。
俺がどんな気持ちで商品って呼ばれるのを耐えて、顔を隠して生きてきたと思ってんだ。
……俺はずっとずっと自分は偽物なんだって、作り物なんだって思ってた。親父はずっとそんな俺を影で嘲笑って、愉快だと思っていたわけだ。
不意に俺の隣にいる仁が、背後から露麻の肩を掴んだ。
露麻が振り向く。
仁は肩から手を離して、露麻の胸ぐらを掴んだ。
「なんであんたは黙って従ってた。あんたがあんなクソ親に従ったせいで、ミカがどれだけ傷ついたと思ってんだ!」
「仁、いい。こいつが俺を優先しないのは、俺が一番よく知ってる」
仁は何も言わず、露麻の胸ぐらから手を離した。
「……俊平様」
「露麻、早く案内して。お前と話したいことなんて、俺はもう一つもないから」
「……はい」
露麻は親父の部屋のドアを開けて、中に入っていった。
「このアルバムのどれかにあるはずです。すみません、私もどのアルバムにあるかは存じ上げておりません」
部屋のドアを開けてすぐのとこにあった棚を見ながら露麻が言う。
「……あっそ。ありがとう」
俺がそういうと、露麻は何も言わずお辞儀をした。