小説家の妻が溺愛している夫をネタにしてるのがバレまして…
偽りの仮面
郁人side
付き合ってから、結婚して今に至るまで。
初対面の時に『取り繕った僕』で接したせいで、なかなか本性を出せずにいた。
詩乃ちゃんは何処までもウブだし、イチャイチャしたくてもなかなか口に出してこないし。
突然襲ったり、男らしさ出したりとかしたら絶対に詩乃ちゃん困惑しそうだし。
いや、言い訳だ。
割と慎重になっていたのも事実で…。
それだけ詩乃ちゃんに熱中していた。
「郁人くん、私、別の小説家ネームでも活動することにした!」
「…? そうなの? なんて名前?」
「……恥ずかしいから詮索しないで!」
あぁ、そう。
またどうせ安直なネーミングなんだろうから、すぐに探せば出てきそうだなぁなんて思ったけど、じっくり本人から訊き出すのも面白そうだし、今は詮索しないでおこうという思考回路が働いて黙っていた。
「………まじか…」
だから、初めて奥さんの予想外な色もの小説を読んで度肝を抜かれた。
(衣玖斗…かぁ…。本当、何処までも安直…)
笑いがこみ上げ、すぅすぅと心地良さそうに隣で眠っている詩乃ちゃんの頬をつまむ。
(…エロ……)
振り返れば結婚前にお泊まりした時以来、性行為は一切していない。
詩乃ちゃんが僕としたいって求めてくるまで焦らそうなんて加虐心を抱いたせいなんだけど。
ぷるぷると震えながら誘いたくても誘えない詩乃ちゃんが可愛かった。
だけど、奥さんの溜まりに溜まった性欲の吐口がこんなオトナな小説になったと思うと……。
(ちょっとオアズケしすぎたかな?)
妄想の中の僕にも嫉妬しそうだった。
でも、まだ悶々としていて欲しいという矛盾。
「……僕って何処までも性格悪いなぁ」
嫉妬心なんか無視して何処までも苛めたいと思ってしまう自分に呆れた。
初対面の時に『取り繕った僕』で接したせいで、なかなか本性を出せずにいた。
詩乃ちゃんは何処までもウブだし、イチャイチャしたくてもなかなか口に出してこないし。
突然襲ったり、男らしさ出したりとかしたら絶対に詩乃ちゃん困惑しそうだし。
いや、言い訳だ。
割と慎重になっていたのも事実で…。
それだけ詩乃ちゃんに熱中していた。
「郁人くん、私、別の小説家ネームでも活動することにした!」
「…? そうなの? なんて名前?」
「……恥ずかしいから詮索しないで!」
あぁ、そう。
またどうせ安直なネーミングなんだろうから、すぐに探せば出てきそうだなぁなんて思ったけど、じっくり本人から訊き出すのも面白そうだし、今は詮索しないでおこうという思考回路が働いて黙っていた。
「………まじか…」
だから、初めて奥さんの予想外な色もの小説を読んで度肝を抜かれた。
(衣玖斗…かぁ…。本当、何処までも安直…)
笑いがこみ上げ、すぅすぅと心地良さそうに隣で眠っている詩乃ちゃんの頬をつまむ。
(…エロ……)
振り返れば結婚前にお泊まりした時以来、性行為は一切していない。
詩乃ちゃんが僕としたいって求めてくるまで焦らそうなんて加虐心を抱いたせいなんだけど。
ぷるぷると震えながら誘いたくても誘えない詩乃ちゃんが可愛かった。
だけど、奥さんの溜まりに溜まった性欲の吐口がこんなオトナな小説になったと思うと……。
(ちょっとオアズケしすぎたかな?)
妄想の中の僕にも嫉妬しそうだった。
でも、まだ悶々としていて欲しいという矛盾。
「……僕って何処までも性格悪いなぁ」
嫉妬心なんか無視して何処までも苛めたいと思ってしまう自分に呆れた。