小説家の妻が溺愛している夫をネタにしてるのがバレまして…
有罪判決と条件
「相澤詩音としての小説は最近出してないよね」

「っ……今度出るよ…! ミステリーもの書いた!」

「読むの楽しみだな〜」


郁人くんは意地悪な人。

私の反応を見て楽しんでいる節がある。


(……天使なんかじゃなかった)


最初に抱いた印象とは違った悪魔のような夫。


「………」


思えばその片鱗が全くなかったわけではなかったような気がする。




結婚前、お泊まりをした時のことを私は思い返した。




『……する?』

『うん…』


とても甘酸っぱい空気に浸って、何度もキスをして……そうして始まった初体験。


『……鼻で呼吸して…?』

『…わかってる…でも…ドキドキしすぎていっぱいいっぱいで…』


不慣れなままキスに応える。郁人くんを満足させているなんて自信はなくて…止まらないまま激しく求めて…。


『詩乃ちゃん…』


何処までも優しい触り方だった。


という風に記憶しているけれど、今思えば意地悪な面もあったかもしれない。


『脚、開いて。』

『恥ずかしい…』

『………恥じらう詩乃ちゃん、本当可愛い…』


両手で隠そうとすると手首を掴まれてベッドに押さえつけられた。唇で、舌で、愛撫を繰り返す郁人くんが可愛くて、ひたすらに顔を見つめていた気がする。


『……そろそろ…挿れていい…?』

『うん…』


もう充分ですってくらいに甘く愛されて準備万端になった頃、郁人くんは肉棒を充てがった。


『力…抜いて…』

『痛っ…』


友達の麻耶ちゃんから聞いていた通り…ものすごく痛い。
避けるような感覚に顔をしかめた。


そんな私を見て、郁人くんは言ったのだ。


『……その痛みに歪む顔、結構ツボかも…』


きっと自分の聞き間違いだ。


なんて思っていたけど……今、郁人くんの本性…的なものを知った私は…

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