小説家の妻が溺愛している夫をネタにしてるのがバレまして…
約束の締結
一晩中、郁人くんは私の言いなり。
でも具体的に何をしようとかなくて、頭の中で一人悶々と考えた。
「ティッシュに出して…」
「……もう飲んだ…」
そして思いついたのは、こういう時にしかさせてくれないであろう郁人くんが許してくれる範囲ギリギリなことで。
(ものすごく苦い…)
謎の達成感に包まれている私は、正真正銘のど変態で。
「……ばか…。胃もたれとかしたらどうすんの…?」
郁人くんに引かれたかもしれない。
普段なかなか見せない嫌そうな顔をしている夫を無視して、もう一回咥えようとした。
「もうダメ」
不機嫌そうな声が頭上から降ってくる。見上げると、いつもの優しい天使な郁人くんではなかった。
「……今日は私が郁人くんに色々して良い日なのに…?」
「うん。ダメ。」
これは本気で嫌がってるなぁ。
強気で出て丸め込もうとしたけど、断念するしかないと思った私は状態を起こして座った。
そんな私に郁人くんは一つ、提案を持ちかけた。
「……詩乃ちゃんを祝う日だから…僕が詩乃ちゃんにご奉仕してあげるよ」
(ご奉仕……マッサージとかかな?)
なんて、この状況であり得ない履き違えをした私は承諾をして…
「じゃあ、お願いします」
と、郁人くんに身を委ねた。
その時の彼の悪魔的な微笑みが、その後、脳裏に焼き付いて消えなくなることを今の私は知らない。
「……あ…」
「今更気づいた? ……僕だけイって終わるのとか不本意すぎ。」
「悦くしてあげるから、無駄な反抗とかしないでね?」