小説家の妻が溺愛している夫をネタにしてるのがバレまして…
中途半端にその気にさせられてやめられるのはかなり辛い。
もちろん郁人くんとするエッチなことは大好きだけれども、苦しい気持ちのまま終わらせられるのは嫌だ。
なんて思っている私の顔の位置に合わせるように郁人くんは手を突いて移動し、それから耳元で熱っぽい声で囁く。
「詩乃ちゃんとしたい…」
普段一切そんなこと言わないくせに、こういう時だけ甘く誘惑してくる。
「……ずるいよ…」
目が合えば心はざわついて早く早くと催促してしまいそうだった。
「耳…小さくて可愛い…」
くちゅくちゅと舌で舐められると一気に身体の力は抜けて、口から甘い悲鳴が溢れる。
「悦んでるじゃん。」
「っ…あ、っ……んん…」
いつだって受け入れてしまう。
「……きもちぃ?」
コクンと頷いて、もっともっとという視線を無意識のうちに送った。
「ふっ…懇願してる詩乃ちゃん、堪らない…」
かなり楽しんでいる様子の彼は服の裾をめくり上げて、露わになった胸を鷲掴みする。揉まれると吸い付くようにカタチが変わり、その快楽にのけぞった。
「ほんと、感じやすいよね。」
クスクス耳元で笑うから、ムッとなる。けれど、郁人くんが鷲掴んでいた手を離して今度は指先で頂の実を爪弾かれると、湧き上がっていた怒りも忘れるほどに脳内が真っ白になって。
「ひゃっ…あ、あぁッ……」
耳に響くいやらしい水温と押し寄せる快楽におかしくなりそうだった。
「……胸と耳だけでこんなになって…下、もう濡れてそう」
私が無抵抗なことを良いことに、下へ下へと手を伸ばして彼は恥丘を撫でる。軽いタッチも私にとっては刺激的に感じて、無意識に脚を開いていた。
「触って欲しい?」
「うん…」
ぐずぐずになっていく私を面白そうに見下ろしながら、郁人くんはショーツを脱がせる。
そして指を充ててゆっくり沈めていくと、ものすごく意地悪な表情で彼は言った。
「すごく濡れてる…。詩乃ちゃんって淫乱だね」
その言葉に、より一層興奮してしまうから。
…私は本当にどうしようもない。
喜ぶことをわかってて言っている彼はかなりの策士だ。
「あ、あぁ……ん…も、だめ…」
「だめ?嬉しそうに締め付けてくるくせに。」
関節を曲げてザラついた場所を的確に刺激してくる。私の顔を見つめたまま、郁人くんは視線を逸らそうとしなかった。
キスしたい。
欲求を叶えて欲しくて彼の目を見つめて、口を少しだけ尖らせる。
郁人くんは私の思ってること全部わかるみたいに強請(ねだ)れば強請った分だけの愛情をくれた。
ちゅっ…というリップ音も興奮の糧となって、普段以上に積極的に舌を動かしてしまう。
「………んッ…」
「ココ…好き…? もっと突いてあげる…。」
執拗に蠢く私のナカにある彼の指はいつの間にか本数が増えていて。
たくさん降り注ぐ口付けが終わり、どちらのものかもわからない唾液が口の端から垂れる。それを郁人くんはもう片方の手の指で拭い、ぺろりと舐め上げた。
「はぁっ…あ、あぁぁぁ…!」
「イきそう?」
「っ……うんっ…」
「ふふっ…いいよ。イって?」
「んぁ…っ…はぁ……っ…あぁッ!!!」
速くかつ強く動かされた指により簡単に私は達してしまう。
大きく呼吸を繰り返して襲いかかってきた脱力感に身を委ね、肩で呼吸を繰り返した。
「……ご満悦?」
「………郁人くんの…エッチ…」
「詩乃ちゃんを気持ちよくしてあげたかっただけだよ?」
唐突に始まったエッチなこと。
止められずに流されて、気持ちよくなって、イっちゃって。
悔しかった。
「……郁人くんばっかり余裕そうで嫌だ…」
「……僕はいいの。詩乃ちゃんが乱れてるところ見れて癒されたし。」
「………普通…そこで欲情するもんじゃ…」
ドサッと私の隣で横になる郁人くんを眉根をギュッとさせながら見つめた。