小説家の妻が溺愛している夫をネタにしてるのがバレまして…

郁人side

今日の仕事は本当に疲れた。

弱音を吐くなんて女々しい?

むりむり。弱音吐かないとやってらんない。


そう思うくらいに僕は疲れていた。


理由としては上司から流された仕事が多すぎたということだ。適切な量を完璧に上回ってるし、オーバーワークなこと間違いなし。

『沖崎ならできる』

と言いつつ、自分の仕事に責任を持たずに擦りつけ…。


(虚栄心もプライドも無いんですか…!)


なんて噛みつくわけにもいかず…。


『沖崎ならできる』の言葉通りに全部終わらせてしまう自分自身もなんか癪(しゃく)にさわるけど。

それに…

任された仕事をランナーズハイみたいになって、爽快に捌き切っていた自分もどうかと思う…。


とりあえず…。



「仕事疲れたから癒して」



と、詩乃ちゃんのベッドに潜り込んで僕は散々詩乃ちゃんを気持ちよくした。



イって肩で息をしている妻を堪能しながら、僕は血液が集中して膨れ上がった身体の中心を鎮めるために深呼吸をする。


「……郁人くんばっかり余裕そうで嫌だ…」

「……僕はいいの。詩乃ちゃんが乱れてるところ見れて癒されたし。」

「………普通…そこで欲情するもんじゃ…」


欲情してるよ。今にも襲いかかって、おかしいくらいに奥を突いて…ナカで最後まで…。


なんて言えるはずもなく。
明日する約束をしているため、それを破って今するのは違う気がして生唾を呑みこんだ。


それから数秒後、割と落ち着いてきた時に詩乃ちゃんと目が合うと、彼女はふにゃりと笑ってこう言う。


「お仕事お疲れ様」


その言葉だけで救われる単純な僕は、無意識のまま、愛しい妻の唇にキスをした。


「……詩乃ちゃん」

「?」

「明日、楽しみだね」

「〜〜っ!!」


< 30 / 56 >

この作品をシェア

pagetop