小説家の妻が溺愛している夫をネタにしてるのがバレまして…
私はひたすらに郁人くんを求めた。
「……うわ…もうびしょびしょだね。」
「……んっ…はぁ…」
「久々だから痛いかもね。」
「痛くてもいいもん…。」
「………気持ちよくしてあげたいから、もう少しオアズケね」
郁人くんは常に冷静だ。
余裕がなくなったところなんて見たことがない。
いつもいつも心にゆとりがあって…。
悔しい。
「……郁人くん、下…脱いで。」
「……我慢できないの?」
「………うん…」
悔しいから。
「しよ…」
目一杯の誘惑をしてみた。
「…………」
あれ…。なんか反応ない…?
静寂に包まれた部屋に居た堪れなくなった。
欲求不満爆発させててはしたない子だと思われた?
今度こそヒかれた?
嫌な考えばかりが頭を過ぎる。
「……ごめん。その…」
「詩乃ちゃん…明日、立てなくなったらごめんね…」
自分の誘惑を『やっぱりなし』と取り消しかけたが、郁人くんの言葉によって遮られた。
「……挿れるよ…」
そそり勃つものを引き摺り出して、その先端と膣口が触れ合う。
そして次の瞬間…。
「んっ…」
「……入った…」
お互いの上がった息が艶かしい。
でも郁人くんは相変わらず余裕そうな表情で、その表情のまま私を見下ろす。
「何か言いたそうな顔…」
本当に郁人くんは察しが良い。だから…
「郁人くん…余裕そう。……私ばっかり…余裕ないなぁって…」
つい吐露してしまった。
「そんな風に見える…?」
その問いかけを皮切りに、郁人くんは腰を動かし始めた。
「……んッ……あんッ…」
「…その声…やばい……」
気持ち良さそうに目を細めている。
それが堪らなく嬉しく感じた時だった。
「余裕な…わけない……。大切な…大好きな奥さんを抱いて……余裕なわけないでしょ……」
「っ……」
その言葉で苦しいくらいに胸が満たされて、甘い刺激がほとばしった。
「好き…。愛してる…」
あぁ、やっとだ。
やっと…郁人くんと繋がれた…。
その嬉しさに涙がこぼれた。