小説家の妻が溺愛している夫をネタにしてるのがバレまして…
『今度、2人で食事に行きませんか』
という連絡が来て、2回目に会うことが決まった日。
麻耶ちゃんは私に言った。
『絶対に気に入られてるって! いつまで経っても詩乃に男の人の影が見えなくて心配してたんだよ! これを逃したら詩乃は後悔する!』
でも私には男の人と2人っきりで話すことがまず重大なことで…。
(断ろう…かなぁ…んーーー。)
食事の誘いを受ける受けないに関して一日中悩むほど決めきれなかった記憶がある。
(締め切り日まで先だけど……)
散々悩んで悩んで、何か自分の知らない話が聞けて、それが小説の良いアイディアになるかも〜なんて損得で行くことを決断した私は、割と嫌なやつだったと思う。