受話器に愛をささやいて
できるだけ平静を装いながら、何でもない表情で相槌を打つのだが。
内心では、やばいやばいと焦りまくっていた。
「クラスの女子から聞いたんだけどさ。好きな人と両思いになれるっていう恋愛のジンクスらしいよ?」
「そー、なんだ。初めて聞いた……若い子は、そういうの好きそうだよね」
無難な解答を述べて、私は白々しく笑う。
この電話ボックスにまつわるジンクスは勿論知っている。
と言うか、そもそもそれが目的で私はここまで駆けて来た。
都市伝説なのか、私が高校生の頃からとある恋愛ジンクスが流行り出し、当時はここに長蛇の列ができたほどだ。
この電話ボックスに一人で入り、意中の相手の名前を数字変換してボタンを押したあと、受話器を持ち上げて「〇〇くん(さん)、好きです」と声に出して言う。
すると近日中にその相手と両思いになれるらしい。
誰が考えついたのかも分からないし、全く根拠のないおまじないの一種だと分かってはいるが、私は既に三回も試している。
今、目の前にいる想い人、碓井 賢人くんの名前で。
そして今のところ何の効果も得られていない。
内心では、やばいやばいと焦りまくっていた。
「クラスの女子から聞いたんだけどさ。好きな人と両思いになれるっていう恋愛のジンクスらしいよ?」
「そー、なんだ。初めて聞いた……若い子は、そういうの好きそうだよね」
無難な解答を述べて、私は白々しく笑う。
この電話ボックスにまつわるジンクスは勿論知っている。
と言うか、そもそもそれが目的で私はここまで駆けて来た。
都市伝説なのか、私が高校生の頃からとある恋愛ジンクスが流行り出し、当時はここに長蛇の列ができたほどだ。
この電話ボックスに一人で入り、意中の相手の名前を数字変換してボタンを押したあと、受話器を持ち上げて「〇〇くん(さん)、好きです」と声に出して言う。
すると近日中にその相手と両思いになれるらしい。
誰が考えついたのかも分からないし、全く根拠のないおまじないの一種だと分かってはいるが、私は既に三回も試している。
今、目の前にいる想い人、碓井 賢人くんの名前で。
そして今のところ何の効果も得られていない。