2回目のエンゲージ~ハッピー・エンドの その先に~
──それから、洗濯物を片付けて、コーヒーを二人分入れて。
私は、リビングのソファに移動していた夫の隣に座った。
きっちり聞かせてもらう、と、全身からオーラが出ているに違いない。
夫が軽く身震いした。
だから違うっていうのに、と、ぶつぶつ言うのが聞こえて、コーヒーを一口飲んで。
ローテーブルにカップを置きながら、夫は、私の眸を覗き込んだ。
「あのね。あの時。
子供達が騒いでるのを見て、傍らで君が洗濯物を畳んでて。
『ああ、これが¨幸せ¨なんだ』って、急に悟ったんだ」
「え?」
「今まで、何千日も見てきた光景だ。
でも、『これこそが幸せの形なんだ』って、心の底からわかった。理解した。
そしたら、震えがきた。
何て俺は幸運だったんだろうって」
──今度は、私が呆然とする番。
理解が追い付かない。
それを分かっていながら、夫は続ける。
「もう、どうしようもなく今言いたい。
俺も君も、いつか死ぬ。
ずっと一緒にはいられない。
想像するのも怖いけど、必ずどちらかが、先に逝くんだ。
だから、──俺、来世も、その次もずっと、絶対に君と出逢いたい。
一度離れても、また出逢って、恋をして結婚して、ずっと、ずっと、一緒にいて欲しい。
俺の幸せは、君のところにしかないって確信があるんだ。
これからも君のことを、全身全霊で幸せにする努力をし続けるから。
生まれ変わっても、ずっと一緒にいたいんだ」
いつの間にか、優しく、でもしっかりと握られた手。
その温もりに我に返ったとき。
自分の頬が、涙で濡れていることを知った。