2回目のエンゲージ~ハッピー・エンドの その先に~
言葉を返そうと口を開くも、嗚咽で声にならない。
そんな私を優しく胸に抱き締めて、夫は背中をゆっくりと擦ってくれた。
幸せな涙を暫く流して、落ち着くと。
ちょっと、悔しくなった。
きっと、私はどんな言葉を紡いでも、さっきの夫の言葉に敵わない。
「───ずるい」
やっと出てきたのが、これだ。
全く、私って本当に。
「私の方が、沢山幸せをもらってるのに。
全然敵わないじゃない!」
泣き顔を見せたくなくて、夫の胸にしがみつく。
「そんなことない。
こうやって、君が抱き締めてくれるだけで。
俺は、どこまでだって幸せになれるんだ」
私をきゅっと抱き締めて、髪に頬擦りする夫に、愛おしさが込み上げる。
──私の方が、有り得ないくらいに幸せだ。
暫く夫の胸にしがみついて、幸福感を堪能していると、小さな溜め息が聞こえた。
「……ねえ、忘れてるでしょ」
不満そうな声に、私は顔を上げた。
目の前に、ちょっと眉をひそめた夫の顔。
え?何?
「お返事をいただいていませんよ、奥さん」