純白のダンス
海斗(かいと)は幼い頃からバレエを習っている。今日も練習のため、バレエ教室にやって来ていた。

「今日こそは演技をもっと上手にできるようになりたいな」

再来月には大きな大会もある。きちんと踊れるようになっておきたい。そのため、練習時間よりも少し早めに来て先に練習しようと思ったのだ。

「あれ?誰か来てるの?」

バレエ教室から音楽が鳴り響いている。三代バレエの一つであるくるみ割り人形のものだ。

「一体誰が……」

海斗はこっそり教室の中を覗く。そこには練習着を着てクルクルと踊っている女子生徒の姿があった。

「白馬さん……」

美しい演技に海斗は心を奪われ、白馬志帆(はくばしほ)の踊りから目を離せなくなる。

志帆はこのバレエ教室で一番バレエが上手で、数々の大会で優勝をしてきている。彼女のバレエには誰も文句を言えない。それほど上手なのだ。

「こうやってずっと練習してたんだ」

誰にも見つからないようにこっそり練習している彼女は、まるで大きな秘密を抱えた存在のようだった。
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