純白のダンス
男子にしては海斗は背は低めで、志帆とあまり身長差はない。しかし、志帆の手は海斗のものよりずっと小さく、つないだ手を海斗は離したくないと思ってしまった。

「あんたは回転がうまくできないんだな。こんな風にするといいと思う」

一通り踊った後、志帆が海斗の踊りの直した方がいいところを言う。志帆の教え方はとてもうまく、海斗は「先生よりわかりやすいね」と言いながら回転してみた。まだぎごちないが先ほどよりは回れている気がする。

「あんた、バレエの才能がないわけじゃないんだからもっと胸を張りな。あんたもこっそり練習してるって知ってるから」

「えっ?」

海斗は驚き、志帆を見つめる。志帆の耳は赤く染まっていた。海斗から志帆は目を逸らし、口を開く。

「あんたが努力している姿を見て、私ももっと練習しようって思ったの。今の私がいるのはあんたのおかげ。あんたが私を変えたの」

「ええっ!?」

海斗は恥ずかしくなり、赤い顔を覆い隠す。練習しているところを志帆に見られていたなど、恥ずかしすぎた。
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