オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「なんで帰ってきたの?」
ずっとお正月明けまで仕事だとばかり。
「中休み」
「ナカヤスミ?」
「せっかくだから。……顔見とこうかなと」
「あー。海月さんの」
「お前のだよ」
「へ?」
大地くん、あたしに会いに来てくれたの?
そうなの?
「う、うれしい!」
「こんな手しやがって」
手のひらを、そっと掴まれる。
「ちゃんとクリーム塗ってんのか」
「お風呂あがりとか、に」
えっと。触れてるんだけど。
「酷くなりそうなら病院でみてもらえよ。無理に働くことない」
「大地くん」
「ん?」
「手。おっきいね」
「はあ?」
「あったかい」
ぎゅうっと握りしめると、手を離されてしまった。
大地くんが我に返ったように「わりぃ」と言って顔を赤らめる。
無意識で触れてきたの?
「もしかして。……酔ってる?」
「少しな」
「飲んで来たんだ」
「まあ」
「ほんとだ。アルコールの香りする」