オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

「明日。出掛けるか」

 んん?

「それって。……デート?」
「ちゃんと寝ておかないと。おいてくからな」
「わ、わかった。おやすみ!」

 大地くんが、突っ立ったまま、あたしを見下ろす。

「どうしたの?」

 行かない、の?

「おかえりなさい――っての。嬉しかった」
「へ?」

 かがんで、覗きこんできた大地くんの指が、あたしの肩に触れる。

「だい……ち、くん?」

 ――――近いよ

「毎日聞きたい」
「……っ。まいにち、いう」
「楽しみにしてる」

 また、ほんのりアルコールの香りが漂ってくる。
 ひょっとして顔に出てないだけで相当酔ってるんじゃない!?

「いつまで着てんの」
「へ、」
「新妻みてえなカッコ。しやがって」

 指一本で、エプロンの結び目をほどかれてしまった。

「お、お店に立つから。エプロンしなきゃでしょ」
「他のヤツに見せなくねえな。これは」
「は」
「いつの間に天ぷら揚げられるようになってんだよ。俺も食ったことねえのに」

 するりと肩紐に指をかけられ、肩からすべり落ちる。

 ひぇえ~~!?
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