オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 朝、起きて居間に向かうと早朝ランニングを終えシャワーを浴びた大地くんが、あたしの朝食を準備してくれていた。
 デジャヴ。相変わらず仕事がはやい。

「おはよ」

 なんでお休みの日もこんなキビキビ動いてるの。

「着替えて顔洗ってこい」

 ねえ、昨日のこと。
 どのくらい覚えてる……?


 "17のクセに。女しやがって"


 ちゃんと、あたしのこと女の子って思ってくれてるんだね。
 山田さんにヤキモチ妬いちゃうくらい、好きなんだね!

「ねえ。今日どこいくの?」
「夕方までに帰って来られるならどこでも」

 でた、門限。
 夕方ってなに、小学生よりはやいじゃん。

「遊園地!」
「これまたベタな……」
「どこでもいいって言ったのは大地くんだよ」
「よかろう」
「ほんとに?」
「今からなら十分間に合う」
「あ、でも」
「どうした」
「二日酔いとか、大丈夫? あんまりヒドいとアトラクション乗れないよね」

 年末で混んでるだろうし、人混みは避けた方がいいかな。

「別にそんな残ってねえよ」
「え?」
「弱くねえし。記憶だって。バッチリ……」
「覚えてるの!?」
< 110 / 201 >

この作品をシェア

pagetop