オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 ちょっと待て。
 どうしてモトナリが、あたしの元カレ知ってるの。
 というか急に押し掛けてくんな……!

「あなたなら。まだ。……僕の方がふさわしい」

 いやいやいや。あんたが頭おかしい。

「邪魔しないで!」

 大地くんの腕にしがみつく。
 いつもならはがされるのに、なにも言われない。

「や、やめろ。美香さんから離れろ」
「今の見てたろ。俺じゃなく美香から近づいてきた」

 家で一緒に過ごした頃、ほとんど口もきかなかった。
 モトナリがツンケンして近寄って来なかったからだ。
 そんなあんたに、あたしの付き合いに関してとやかく言われたくはない。
 言ってくる意味もわかんない。

「そうか。お前。妬いてんのか」
「な……」
「帰ったら、ねーちゃんがいなくて寂しかったのか」
「そんなんじゃ」

 寂しかった? モトナリが?

「なら。お前も来い」

 ――――えぇ!?
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