オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

「歩きづらい靴で来たら。まわれねえもんな」 
「お店に立つときも、ぺたんこの履くよ」
「海月が、給料分以上の働きっぷりだと褒めていた」
「……ほんと?」

 自分では、そんな自覚ない。
 教えてもらうことだらけだから。

「オッサンキラーなんだってな」
「ま、まあ。年上ウケいいからね、あたし」
「一生懸命で素直だから教え甲斐あるんだと」
「やればできるもん!」
「俺、みくびってた。美香のこと」
「え?」
「どこかで、お嬢様育ちってことが引っかかってた。いや。今もまだ」

 お嬢様扱いしなくて、いいのに。

「お前は、どこいってもやってけるな」
「あたしに不可能はない」
「たまに不安定になるけどな」
「そ、それは言っちゃダメ!」

 こっちを見ていたモトナリが、さっきからずっと黙っている。
 なに急にしおらしくなってるんだか。
 言いたいことがあるなら会話に入ってこればいいのに。ただし大地くんを侮辱したら許さない。

「靴は合格だが。そのズボンはなんなんだ」
「は?……なにってホットパンツだけど」

 日中は、あたたかいし。
 スカートより動きやすいし。
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