オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

「出しすぎ」

 へ?

「同感です」
「だよな」
「美香さんは自覚が足りません」
「激しく同意する」

 なに、モトナリまで。
 あんたさっきまで大地くんになにがなんでも反発してなかったか。
 ここで意気投合しないでよ。

「もっと自分を大切にしてください」

 ホットパンツ履いてきたら自分を大切にできないの? そんなことないよね?

「俺の未来の嫁が他人にやらしい目で見られるのは勘弁ならん」

 み、未来の――嫁。

「なに嫁とか言っちゃってるんですか」
「事実だ」
「そうやって何人もの女性キープしてるんですね」

 そうなの? は?

「するかよ」
「じゃあこれは誰ですか」

 モトナリがなにかを大地くんに見せる。

「……お前。それ」

 目を見開いて、モトナリのスマホを見ているようだが。

「認めて下さい。姉以外に女がいると」

 ――――!?

「特別な関係ですよね、明らかに」
「たしかにそいつとは親しいが――」
「みせて!」

 画面に写っているのは、大地くんが、ウェーブがかった髪の長い女性を支えているところ。
 というか、抱き締めているようにも見える。

 落ち着け。
 あたしと出逢う前のことかもしれないよね。
< 126 / 201 >

この作品をシェア

pagetop