オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「出しすぎ」
へ?
「同感です」
「だよな」
「美香さんは自覚が足りません」
「激しく同意する」
なに、モトナリまで。
あんたさっきまで大地くんになにがなんでも反発してなかったか。
ここで意気投合しないでよ。
「もっと自分を大切にしてください」
ホットパンツ履いてきたら自分を大切にできないの? そんなことないよね?
「俺の未来の嫁が他人にやらしい目で見られるのは勘弁ならん」
み、未来の――嫁。
「なに嫁とか言っちゃってるんですか」
「事実だ」
「そうやって何人もの女性キープしてるんですね」
そうなの? は?
「するかよ」
「じゃあこれは誰ですか」
モトナリがなにかを大地くんに見せる。
「……お前。それ」
目を見開いて、モトナリのスマホを見ているようだが。
「認めて下さい。姉以外に女がいると」
――――!?
「特別な関係ですよね、明らかに」
「たしかにそいつとは親しいが――」
「みせて!」
画面に写っているのは、大地くんが、ウェーブがかった髪の長い女性を支えているところ。
というか、抱き締めているようにも見える。
落ち着け。
あたしと出逢う前のことかもしれないよね。