オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 それでも――……

「それは酔い潰れた同僚を介抱してるとこだ」
「こんなに親身に?」
「あっちは歩けなかったんだ。抱えもする」
「どこまで世話してあげたんでしょうね。ベッドの中までですか?」
「かわいい顔して言うじゃねーか」

 もしかして、この人がワック?
 日頃から大地くんと仲良くしてる……?

「合コンだって行ってますよね」
「半ば強制に誘われて顔出し程度に参加してるだけだ。それはお前のねーちゃんも知ってる」
「知ってるのと、認めてるのは違いますよ」

 ――――!

「あなたに嫌われたくないから我慢してるって風には考えないんですか」

 なんでモトナリが、あたしの心の代弁してくれてるの。

「考えてる。それでも付き合いってのはあるんだよ。ガキにはわかんねえだろうが」
「好きな子を悲しませてまで強行する付き合いって重要ですか。完全にプライベートですよね、仕事でなく」
「ああ、そうだ。こんなクソみてえな付き合いは。美香を嫁にもらったあとは全部きっぱり断ってやるさ。愛しの妻が待ってるのでってな」
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