オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「……大地くん」
「ん?」
「今日は。よく、喋るね」
あたしと結婚すること当然のように話してくれてるし。
"愛しの妻"
二人だとそんなこと言ってくれないもん!
「俺のこと信じられなくなったか」
写真は――ショックだ。
女の子と密着するようなシチュエーション、あって欲しくない。
けれど、大地くんが仲間を放っておけるような人の方が悲しい。
あたし知ってるよ。
大地くんは見返りなく他人に優しくできる人だって。
「信じるよ」
信じてるよ、大地くん。
「そのわりには泣きそうだな」
「えっ」
ヤバイ涙が溢れそう。
「ちがう。これは。……コンタクトずれたの! トイレいってくる!」
これ以上、ガキって思われたくない。
駆け込んだトイレで気持ちを切り替えたあとパークに戻ると、大地くんが電話をしていた。
普段携帯を使わない人だし、空気感と口調から、それが職場からの急な電話だと思った。
こんなことは初めてだ。
真剣な表情で電話を切ると、大地くんが、あたしをまっすぐに見つめる。
「わるい、呼び出された」
…………!
「え、緊急事態。とか?」
「すまん」