オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
なにが、僕としたことが……だ。
大地くんだって違うなら違うってすぐに反論してくれればいいのに!
「ていうか、なに嗅ぎ回ってんの? 写真といい、元カレのことまで調べてるみたいだし。どういうつもり?」
あんた一人の力でそこまでできないはず。
「探偵でも雇った? あたしに張りつかせてたの?」
「怒らないで、美香さん」
強気なモトナリが、主人に叱られた仔犬のような顔をする。
「……怒ってるんじゃないよ」
喧嘩したいわけじゃない。
仲良くしなきゃ、大地くんから叱られるしね。
「これまで少しもあたしと交流してこなかったのに。なんの風の吹きまわし?」
「嫌なんです」
「なにが」
「奪われたくない」
……うばう?
「あんた偏差値高いんでしょ。もっとあたしがわかりやすいように話しなさいよ」
「美香さんを。あいつに奪われたくない」
――――!?
「僕だってあと5年もすれば、美香さんを幸せにできる」