オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「そっか。姉弟水入らずでデートしてきたんだ?」
「まさか弟にガチ告白されると思いませんでした」
お店に戻ると、海月さんにありのままを報告する。
「普通に遊園地楽しんできましたけどね。絶叫マシンにも乗せてやりました」
「仲良くなれたんだね」
これも、大地くんのおかげ。
「どっち選ぶの? 大地か。それとも――」
「当然大地くんです」
海月さんは、今日も今日とて仕込みをしている。
こんなこと絶対言えないけど、これだけ頑張って働いてもあたしが自由に使えるお金の方がずっと多い。
お金を稼ぐというのは本当に大変なことなのだ。
「ごめんねー。せっかくのデートなのに」
「謝ることじゃないです」
誰も、悪くない。
「やってる?」
お店の引き戸が開けられ、のれんをくぐってきたのは山田さんだ。
「今日も来てくれたんですね!」
「いやあ。美香ちゃんいるかなと」
「あらあら。美香ちゃんは大地のですからねー?」
「まいったな。美人さん2人と呑めたら長生きできるってもんだ」
「お上手なんだから」