オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 これが、"すき"?

「デートするって意気込んでたわりには。打つ手ナシって感じだね」

 だって、想像できないんだもん。
 大地くんとあたしが並んでいるところは。一緒にご飯食べたり、笑いかけてくれるような姿は。

「拒否られるって。つらいね」
「散々オトコつまみ食いしてポイと棄ててきた美香がいうか」
「そ、そんなことしてない。続かないだけ」
「まあ。いい経験になったんじゃないの」

 なにその終わりがきたみたいな言い方。
 ……ここで終わらせたくないよ。

「そうだ。催しみたいなのは?」
「モヨオシ?」
「駐屯地で開かれてたりするよね。お祭りみたいなの。それなら会えるでしょ」
「何月?」
「忘れた。夏、だったかな」
「まだまだ先じゃん」
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