オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
季節が巡って、初夏。
あたしは無事3年に進級することができ、ラスト1年になるであろうJKライフを満喫――するよりもはやく、大好きな大地くんのお嫁さんになりたくて仕方ない。
「結構です、ってなに。欲しがってよ」
知り合って半年以上たつのに、大地くんから届くのは相変わらずそっけない敬語メインのメールだった。
「それより『すげえ見てえ』に気持ちがだだ漏れしちゃってる件。愛されてるねぇ」
担任もメンバーもそのまま。
だから若菜と今年も同じクラスになれた。
「どこが?」
「明らかに頑張って返信してくれてるじゃん」
「……そう思う?」
無理強いしたくないって思いながらも、つい返信を期待してしまう。
「きっと彼はジレンマの狭間にいるんだよ」
「じれんま?」
「男として、かまってやりたい。だけど大人として見守りたい」
いつか、あたしにペース乱されるって口では言っていた大地くんだけど、余裕ありまくりって感じ。
ベッドに押し倒しても、シなかったし……。
「美香から写真送りつけるくらい、いいと思うけど」
「ほんと?」
「待ってたりしてね」
「撮る! 送る!」
どこでなにをしていても、今、大地くんはなにしてるかなって考えちゃう。
ふと空を見上げると、この広い空を大地くんも見上げていたりして、なんて思ってしまうくらいだ。