オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

「マキノには身の回りのことしてくれるひと、いないんだ?」
「お前は生まれたときからなんでもしてくれる人間が傍にいたかもしれねーけどな。普通は自分でやるんだ」
「あたしの好きな人はアイロンがけが得意だよーだ」
「そうかよ」
「髭もそってるし。髪も短く切り揃えられて。ベッドメイキング得意なんだって」
「どんなやつだよ」
「うまくできないと台風来るらしい」
「……自衛官か」

 えっ。

「お前が好きなやつ。自衛官なのか?」

 なんで今の話だけでわかっちゃうかな。

「マキノって。マニアック」
「JKに手を出す自衛官なんて。やべえぞ」
「出されてない!……あたしから迫っても絶対に拒絶されてる。結婚前提の真面目な関係。家族の承認も半分得てる」
「そういやお前。去年、引ったくりにあってたよな。そのとき助けてくれたのが――……」
「ち、ちがう! ちがうから!」
「怪しい」
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