オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
学園祭の準備は順調に進んだ。
終わればテスト期間なのは、ちょっと憂鬱。
「マキノに大地くんとのことがバレた?」
「うん。ちょっと。まあ、いいけど」
「いいんだ」
「マキノが邪魔してくるようなら、あたしがマキノの人生終わらせてやる」
「あんたのジョークは笑えない。ほんとにやりかねないからな」
若菜と衣装の最終チェック。
メイド風のコスチュームがめちゃくちゃかわいい。
「これ作ってくれたの。クラスの子なんだよね?」
「そうだよ」
「上手」
「好きなんだってさ。こういうの」
「……へえ」
女の子って感じ。あたしはミシンどころか、針に糸すら通せない。
「大地くんの方が。女子力高い」
「は?」
「んーん。頑張らなきゃなって」
若菜はロングスカート、あたしはミニ。
「頑張ってるじゃん。今日のお弁当も美味しかったよ」
自分で作ったおかずを、若菜によく味見してもらっている。
「大地くんは、家庭料理に関しては舌がこえてるの」
「海月さんって女性に負けたくないんだ~?」
「そういうわけでは」
図星である。
「そういやマキノってさ。モテてたよね」
「あれが?」
「一年のとき、もっと綺麗だったというか。今みたく小汚なくなかった。当時はテニス部の顧問してたはず」