オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 職員室に向かったはいいが、なにせテスト期間だ。中に入れるわけもなく身動きがとれない。

「どうしました?」

 いいところにやってきたのは一年のときの担任。白髪まじりのおじいちゃん。

「マキノ……先生。いますか」
「ちょっと待って下さいね」

 中の様子を覗いたあと「ここにはいないから。準備室の方かな」と教えてくれた。

 コンコンッ

 準備室の扉をノックするも、返事がない。

 ――カチャ

 扉に鍵は、かかっていない。

「マキノ? いないの?」
「勝手に入んな」
「わっ」

 背後から声をかけられ、思わずビクリと跳び跳ねた。

「どこ、行ってたの?」
「便所」
「無用心だよ。鍵あけたまま行くとか」
「別にこんなとこ。たいしたもん置いてねーよ。化学準備室ならともかく」

 たしかに化学準備室なら薬品がたくさんあるから危なそう。
 しかしここは国語準備室だ。

「うーわ。埃っぽ」
「なに入ってんだ」
「いいじゃん。なんもないんでしょ」
「お前。暇なのか?」
「ちがうし。ご飯今からだよね」
「もう食った」
「はや!」
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