オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「うちの。……手伝い、で」
「お前のとこいつから飲食店になった。オヤジ、大手アパレル会社のCEOだろ」
「とにかく味も保証するから! 食べて」
お箸でかき揚げをつまんで、マキノの口に運ぶ。
「……うまい」
「でしょ?」
「冷めててこんなうめぇなら。揚げたて最高だろうな」
「へへ」
「ほんとにお前が作ったのか?」
「嘘ついてどうすんの」
「これは。胃袋つかまれるな」
「やったね」
「俺の愛人になるか」
「バカなの?」
奥さんしか見られないって顔してなに言ってんだか。
「いや、マジで旨い。見直した」
「あたしに惚れないでね。婚約者いるから」
「惚れるかよお前みたいなケツの青いガキ。ピクリとも反応しねーわ」
「キッモ!」
「どうやら本気らしいな」
「は?」
「一丁前に花嫁修行してやがんだな」